社会保険労務士とは

主な仕事

社会保険労務士は、50種類以上にのぼる労働・社会保険諸法令に基づいて、行政機関に提出する提出書類や申請書等を依頼者に代わって作成する事務及び提出代行または事務代理をはじめ、帳簿、書類等の作成などの仕事を行っています。
また、社会保険労務士は、人事・労務管理のコンサルタントとしても活動しています。社会保険労務士が行っている仕事は、以下のようなものです。

主要業務一覧

1.行政機関に提出する書類等の作成及び事務手続き(注1)(提出代行・事務代理)

  • 労働保険、社会保険の新規加入と脱退、及び被保険者資格の取得、喪失等の手続
  • 健康保険・厚生年金保険の算定基礎届及び月額変更届、労働保険の年度更新手続
  • 健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付申請手続
  • 労災保険の休業(補償)給付や第3者行為の給付手続
  • 死傷病報告等の各種報告書の作成と手続
  • 解雇予告除外認定申請手続
  • 年金裁定請求手続
  • 審査請求、異議申立、再審査請求などの申請手続
  • 各種助成金の申請手続
  • 労働者派遣事業などの許可申請手続
  • 求人申し込みの事務代理

2.諸規定・帳簿等の書類作成・届出(注1)

  • 就業規則・賃金規定・退職金規定等の諸規定及び時間外・休日協定(36協定)などの各種労使協定の作成・届出
  • 育児・介護休業に関する諸規定の作成届出
  • 労働者名簿・賃金台帳の作成(注2)等

3.相談・指導・企画

賃金・人事制度及び退職金制度の設計・運用、採用・異動・退職・解雇等の雇用管理、労働時間管理(休日、休暇を含む)、福利厚生、安全衛生、教育訓練、各種年金、高齢者問題などに関するコンサルテーション

(注1) 上記1,2の書類作成及び事務手続(提出代行・事務代理)については、社会保険労務士でないものが報酬を得て業として行うことはできません。

(注2) 賃金台帳とは、税理士が作成する「源泉徴収簿(一人別帳)とは異なり、労働基準法第108条によって作成が義務づけられているものを言います。

労働・社会保険の事務手続きの代行・代理

社会保険労務士は、従業員の採用から退職(解雇)まで(会社設立から解散まで)の間に必要な労働・社会保険手続きのすべてを事業主に代わって行います。また、年金裁定請求手続きや労災保険の給付申請手続きなどの事務を個人に代わって行います。

諸規定及び備え付け帳簿等の作成

就業規則等の作成・変更

常時10人以上の従業員を使用する事業所では、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。また、近年、関係法令が頻繁に改正されていますので、既に就業規則を作成している事業所でも、その見直しが必要な場合があります。このような場合には、社会保険労務士にご相談いただければ、法改正及び事業所の実態に合った就業規則を作成・変更いたします。

社会保険労務士が作成する諸規程

社会保険労務士が作成する就業規則の付属規程には、次のようなものがあります。

  • 給与(賃金)規程
  • 退職金規程
  • 安全衛生規程
  • 災害補償規程
  • 福利厚生(慶弔見舞金)規程
  • 育児・介護休業規程
  • 出向規程
  • 旅費規程
  • 寮・社宅管理規程 など

賃金台帳の作成や労使協定の事務手続

労働関係法令は、上記の諸規程のほかに労働者名簿や賃金台帳、各種労使協定などの書類、帳簿等を事業所に備え付けておくことを事業主に義務づけています。労使協定には、以下のようなものがあり、社会保険労務士はこれらの労使協定の事務手続(届出を含む)を代行します。

  • 36協定(時間外・休日労働協定)
  • 事業場外みなし労働時間制に関する協定
  • 休憩時間の一斉付与に関する協定
  • 専門業務型裁量労働制に関する労使協定
  • 1年単位の変形労働時間制の労使協定
  • 企画業務型裁量労働時間制の労使委員会の決議等
  • フレックスタイム制の労使協定
  • 年次有給休暇の計画付与に関する労使協定
  • 貯蓄金管理に関する労使協定
  • 育児休業の適用除外に関する労使協定
  • 賃金控除に関する労使協定
  • 介護休業の適用除外に関する労使協定

社会保険労務士でない者が、報酬を得て就業規則の作成・変更をすることはできません。

就業規則を作成・変更するためには、労働関係法令に関する高度な法律知識を必要とします。就業規則の作成・変更を報酬を得て行うことができるのは、社会保険労務士に限られています。従って、無資格者はもちろんのこと、公認会計士(監査法人を含む)や税理士などの国家資格者も、有料で就業規則の作成・変更をすることはできません。

相談・指導・企画

法律で定められた唯一の労務管理コンサルタント

社会保険労務士は、企業の人事や労務に関するコンサルタントしても活動しています。社会保険労務士法は、「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、または、指導すること」(同法第2条第1項第3項)を社会保険労務士の仕事のひとつとして定めており、社会保険労務士が労務管理の専門コンサルタントであることを認めています。

社会保険労務士は、人事・労務管理上の諸問題の相談を受け、企業の実情に応じて適切なアドバイスを行います。

労務管理コンサルタントとして行う仕事の主なもの

職場における労働問題は、非常に多岐にわたるため、すべての領域を記すことはできません。ここでは、主なものついて挙げております。

分類 主なテーマ
雇用管理 募集・採用、適正配置と人事異動(配転・出向等)、服務規程と懲戒、退職と解雇、派遣社員・契約社員・パート・外国人・高年齢者などの雇用管理
就業管理 労働時間(労働時間の範囲、変形労働時間、みなし労働時間制等)、年次有給休暇、育児休業、介護休業などの従業員の就業に関する事項
人事管理 職能資格(等級)制度や複線型人事制度、人事評価制度(アセスメント)、目標管理、面談制度、早期退職者優遇制度、自己申告制度、社内公募制、執行役員制度、モラルアップ、モチベーション管理など
賃金管理 職能給や職務給、年俸制などの賃金制度及び退職金制度の設計、諸手当と割増賃金の設計と実務、成果主義賞与制度やストックオプションなどのインセンティブ制度の設計など
福利厚生 法定福利(社会保険等)と法定外福利、福利厚生施設と福利厚生制度(助成金を含む)、企業福利、カフェテリアプランの設計)
安全衛生 安全衛生計画の策定、安全衛生管理体制の確立、安全衛生教育の実施、安全衛生運動の実施と指導
教育訓練 教育訓練計画策定、管理者研修等の階層別教育訓練企画の実施、OJTマニュアルの作成、自己啓発支援制度の設計など
労使関係 労働協約作成と変更、労使交渉への助言・指導、労使協議制・苦情処理制度の設計と運営に関する助言、個別労使関係(紛争)改善指導、セクシャルハラスメントについての相違・指導など
(注)すべての社会保険労務士が、上記の業務を行っているとは限りません。

特定社会保険労務士とは

労働者と経営者が争いになったとき、次のADR(裁判外紛争解決手続き)における代理人として、 裁判によらない円満解決を実現することができる社会保険労務士のことを指します。

「紛争解決手続代理業務」の内容

  • 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手  続の代理(紛争価額が60万円を超える事件は弁護士の共同受任が必要)
  • 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理
  • 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に基づき都道府県労働局が行う調停の手続の代理
  • 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理
    上記代理業務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理を含む。

※(参考)社会保険労務士が、特定社会保険労務士になるには、『厚生労働大臣が定める研修を修了』し、『「紛争解決手続代理業務試験」に合格』した後に、その旨を全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に付記しなければなりません。

具体的には、ADRを行う機関として厚生労働大臣が指定する「社労士会労働紛争解決センター」などにおいて、「特定社会保険労務士」は経営者や労働者の皆さまの代理人として、個別労働関係紛争の円満な解決のお手伝いをすることができます。

以上